次なるステージへ。グループCEOが語る“持続可能な組織”とは

今年5月9日に創業22周年を迎えたエムステージグループ。「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をグループビジョンに、日本の医療課題に多様な解をご提案してきました。

前回の《 FY2025の事業戦略 》に続き、今回は「持続可能な組織」についてエムステージグループのグループCEOである杉田さんにお話しを伺いました。

株式会社エムステージグループ 代表取締役 兼 グループCEO 杉田さん
大学卒業後、医療コンサル会社勤務を経て、2003年株式会社エムステージ(当時 株式会社メディカル・ステージ)を設立。コンサルタント時代に目の当たりにした無理な勤務体制に疲弊の声をあげる医師と、人材不足に喘ぐ医療現場を変えるべく、医師専門の人材総合サービスをスタート。持続可能な医療の未来をつくるため、医療機関の採用支援や事業場向けの産業保健支援、医業承継支援と、エムステージグループの事業領域の幅を広げている。

――前回、FY2025以降のエムステージグループが更なる発展を遂げるために、ポイントとなるのが「持続可能な組織」と伺いました

はい。エムステージグループが掲げる持続可能な医療の未来をつくるためには、私たち自身が持続可能な組織でなければなりません。

先日の厚生労働省の発表によると、昨年2024年に生まれた子どもの数がはじめて70万人を下回りました。兼ねてより少子化が問題視されてきましたが、今後さらに人口減少が進み、長い目で見ると国内消費の縮小、足元では生産人口の減少による採用難がさらに深刻化してきます。また、日々目まぐるしく変化するITをはじめとする技術。個人が情報を発信できる昨今の、厳格化する社会の目。これらの社会の変化に柔軟に対応できる組織こそが「持続可能な組織」であると考えています。

――実現のためには、どのようなことが必要となるのでしょうか

ポイントは3つあります。まず、ミドルアップダウン型の組織であること。そして採用力・育成力に優れた組織であること。最後にコンプライアンス・リスクマネジメントが徹底された組織であることです。

――「ミドルアップダウン型の組織」とはどのようなものなのでしょうか

ミドルアップダウン型の組織とは、ミドル層を中心とした組織のことです。

変化の激しい社会に対応するためには、ボトムアップでは時間がかかりすぎてしまい機動力が損なわれてしまいます。反対に、トップダウンでは現場の意見との乖離が生まれたり、メンバーの自立性が損なわれたりしてしまいます。現場を熟知し、経営に近いミドル層を中心に変化をもたらす組織のかたちがこれからは必要です。

そのためには、現場の声を経営層に上げるだけでは意味がありません。現場の声を聞き、その声の中から本当に必要なものを見定める、そして改善という変化に確実につなげる。そのような姿勢が必要となります。そのような姿勢が結果的にチームからの信頼につながり、経営層の考えや方針の浸透のしやすさにもつながるのではないでしょうか。

――「ミドルアップダウン型の組織」はミドル層の活躍が肝となりますね。「採用力・育成力に優れた組織」もミドル層がポイントとなってくるのでしょうか

とても重要となります。

エムステージグループには6つの行動指針があります。そのなかでも最も重要な行動指針が「オーナーシップ」です。私たちが考える「オーナーシップ」とは、強い情熱と責任感を持って取り組む姿勢、与えられた職務やミッションに対する自律性、経営に対する当事者意識を持つというものです。オーナーシップはリーダーシップとは違います。各々が自分の役割を認識して自分の役割に責任を持つ。特定の誰かではなく、皆が持つべきものだと考えています。

ミドル層がこの体現者となることで、エムステージグループの基準をつくる。そしてチームメンバーとの定期的な1on1によりチーム全体のオーナーシップを醸成していく。また、採用に関わる機会の多いミドル層がオーナーシップを持ち、自分ごととして会社を語る。それにより求職者に魅力が伝わり、その魅力に惹かれた人が集まってくる。

これからは、そのようなオーナーシップをベースとした採用力と育成力が必要になってきます。

――「コンプライアンス・リスクマネジメントが徹底された組織」はいかがでしょうか

これは言うまでもありませんが、全社員はもちろん、経営層やミドル層は特に意識を高めていく必要があります。そのために、情報セキュリティや法務をはじめとする管理部門の強化を現在進めています。現場を支えるミドル層が安心して業務に取り組めるような組織づくりを行っていきます。

――ミドル層が中心となる組織にしていくために。FY2025ではどのような取り組みをされるのでしょうか

FY2025ではミドル層のアセスメントの強化と研修によるスキルアップを図っていきます。
アセスメントにおいては、形骸化しやすい評価基準の解像度を高めていくことで、評価の判断をシンプルでリアルなものにしていきます。そして、毎年適性を見直すことで緊張感と向上心の醸成を図ります。同時に、ミドル層を対象とした定期的な研修や教育も実施していきます。

このようにしてミドル層を強化すると同時に、ミドル層への待遇もより良いものにしていきます。
ここで言う待遇とは、給与によるものはもちろん管理部門をはじめとする会社のサポートで、「管理職は罰ゲーム」と言われる今日の風潮のなかで、誰もがめざしたくなるような環境をつくっていきます。

(2025年2月に行われた管理職研修)

――「持続可能な医療の未来をつくる」ために。FY2025はミドル層を中心とした組織の仕組みを整えていく1年になるのですね

次なるステージへ向け、私たち組織も常に変化していかなければなりません。繰り返しとなりますが、そのキーマンはミドル層です。エムステージグループは、ミドル層が強い組織をめざして仕組みづくりと取り組みを進めていきます。

持続可能な医療の未来をつくるために、それに向き合う私たちも持続可能な組織であるために。FY2025は前回お話しした事業戦略と今回お話しした組織づくりを通して、社会に更なる価値を提供していきます。