産業保健の課題解決を追及して生まれた『Sanpo保健室』試行錯誤を重ねた2人の思いとは

今年1月にリリースされた産業保健専門職オンラインシェアリングサービス『Sanpo保健室』。この開発に携わったサービス責任者の尾尻さんとPdM(プロダクトマネージャー)の木村さんに、開発背景やサービスの今後の展望について伺いました。

株式会社エムステージ 産業保健事業部 事業開発室 室長 尾尻さん
大学院修了後、大手ヘルスケア企業を経て、2020年エムステージグループに参画。部門の立ち上げ、複数の新規事業立ち上げを担当し、2022年より『Sanpo保健室』のサービス責任者を務める。これまで100社以上の健康経営施策の企画・運用等のコンサルティングを担当。

株式会社エムステージ 産業保健事業部 プロダクトマネージャー 木村さん
新卒で株式会社朝日新聞社に入社。エンジニアやPM(プロジェクトマネージャー)として、社内外のシステム構築・保守、新規事業の立ち上げ・各種プロダクト開発に従事。2023年、エムステージ産業保健事業部にて社内初のPdM(プロダクトマネージャー)に就任。現在、ヘルスケア領域の新規プロダクト開発チームを率いる。

――本日はよろしくお願いいたします。まずはご経歴を教えていただけますか

尾尻さん:大学院修了後、ヘルスケアサービスの会社で企業コンサルティングやサービス開発に携わっていました。その後エムステージグループに参画し、部門の立ち上げや複数の新規事業立ち上げを担当しました。2022年からは『Sanpo保健室』のサービス責任者を務めています。

木村さん:新卒で朝日新聞に入社し、昨年まで25年間勤務していました。入社してから印刷業や工場の管理など様々な業務に携わりました。その後、エンジニアとして情報セキュリティや新規事業に取り組み、PdMの経験も積みました。そして2023年1月からエムステージグループに入社し、新たなキャリアをスタートさせました。

――25年勤めた会社を辞め、エムステージグループに転職した理由をお聞きできますか

木村さん:25年間を通じて、様々な経験をさせていただき、やりたいことをやり切ったと感じました。第二のキャリアを模索するなかで、子供たちに何か価値あるものを残せる医療の分野に進みたいと考えました。また、私の子供が、小さい頃からの薬剤師になる夢を追いかけ、去年、薬学部に合格したことも医療関係をめざした理由です。医療に関わる多くの企業があるなかで、エムステージを選んだのは、医療の未来に対して貢献していきたいという姿勢に感銘を受けたのが理由です。

――尾尻さんは新卒からヘルスケア業界でキャリアを積まれていますが、昔から医療業界に関心があったのでしょうか

尾尻さん:学生時代、医事法や医療過誤の問題について学ぶ機会があったこともあり、医療分野への興味は元々ありました。また、自分や家族の病気で病院へ通うなかで、医師不足など医療現場の課題を感じ、何か出来る事はないかなという思いを持っていました。そんななかエムステージに入ったのは、医療機関や医師との密な関係性に魅力を感じたことや、エムステージグループが掲げる『すべては持続可能な医療の未来のために』というビジョンに共感したからです。

――お二人が開発に携わった『Sanpo保健室』が今年1月にリリースされましたね!どのようなサービスか教えてください

尾尻さん:『Sanpo保健室』は、企業が状況に応じて、産業医や保健師など多職種の専門スタッフが実施する面談メニューを選び、オンラインで面談を受けることができる産業保健専門職のオンラインシェアリングサービスです。
従業員のメンタルヘルス課題や長時間労働への対応など、多岐にわたる健康サポートが面談を通じて可能となります。全11種の充実したメニューと、その後のアドバイスを含むフィードバック(面談報告書)で、人事労務の課題に的確に対応します。

木村さん: 面談対応など従業員のケアの部分にまで取り組みたいと思っていながらも、実際は取り組めていない企業が多いのが現状です。そういったなかで、「オンライン」「チケット」という活用のしやすさで、幅広い企業で手軽に専門職の面談を受けてもらうことが可能になりました。

――必要なとき、必要なだけ、専門職のサポートが受けられる人事労務ご担当者向けのサービスなんですね。『Sanpo保健室』開発にあたって、お二人はどのような業務に携わっていたのですか

尾尻さん:サービス責任者としてサービスの方向性を定め、その方針に基づいて開発を推進してきました。何社かの顧客企業にご協力いただきトライアルを実施して、ユーザー視点のサービス検証を行ったり、運営側の業務フローのブラッシュアップをしたり、システムと運営の両面でサービス開発を進めてきました。

木村さん:尾尻さんと二人三脚でコンセプト部分から議論を深め、トライアルを通じて「事業が成長できるか」を検証しながら要求仕様を作り上げました。PdMとして、どういったシステムをつくれば尾尻さんのめざす方向性と、利用者の望んでることを形にできるのかを文書化し、エンジニアにお伝えして作り上げていきました。また、リリース後には、ユーザーからのヒアリングで得られた情報をもとに、より多くのユーザーの課題を解決できるものなのか、本当にないと困る機能なのか、といったことを総合的に判断しながら実装する機能を決めています。

――どのような思いで『Sanpo保健室』というサービスを開発したのでしょうか

尾尻さん:この業界に携わるなかで見えてきたのは、まだ十分には整備されていない産業保健環境です。取組みに対する企業間の格差を感じるなかで、産業保健サービスの導入ハードルを下げるイノベーションを作りたいと思いました。コストや労力を考え、産業保健の取り組みが難しいと感じている企業はまだ多く存在します。企業や従業員が、産業医や保健師などの産業保健専門職にもっとアクセスしやすい環境を作りたい、そんな思いで『Sanpo保健室』を開発しました。

――全ての企業で産業保健を手の届く存在にしたいと思ったのですね。開発エピソードについてもお聞きしたいです

尾尻さん:実は当初予定していたリリース1か月前に 「セキュリティの強化」 が理由で『Sanpo保健室』のプロジェクトがストップし、ゼロからの再スタートとなりました。新しいサービスを早く世の中に届けたいという思いで突き進んでいたなか、苦渋の決断でしたが、もう一度サービス内容を見直す良い機会と捉えて、メンバー全員気持ちを切り替えて取り組みました。

木村さん: そこから2か月ぐらいかけて、コンセプトからもう一度練り直しをしました。尾尻さんと何度も意見交換を繰り返し、再度練り直しすることによって、サービスをより強度なものにすることができたと確信しています。妥協せずにより良いものを追及することこそ、サービス責任者としての使命があると感じています。

――木村さんはPdMとしてプロダクトを進める上で意識していたことはありますか

木村さん:心理的障壁を下げることは常に意識してきました。チーム内でなんでも言える環境を作るために、 自分をさらけ出した上で、相手について聞き、冗談を交わしながら話しやすい環境をつくっていきました。プロジェクトを進める上でコミュニテーションが取れず、お互いの認識にズレがあると、同じことを同じ言葉を喋っても全く違う方向に進んでしまうので、プロジェクトを進める上でPdMとしてかなり意識したところです。

――尾尻さんはサービス責任者として大切にしていた部分があれば教えてください

尾尻さん:普段は人の意見をよく聞き、取り入れる事を大事にしていますが、サービス責任者としては、譲れないコアな部分がブレないようにすることを意識していました。私のミッションは『Sanpo保健室』で企業の健康課題を解決する手段を増やすことです。この軸がブレないよう企画を進めてきました。一方で、サービスが独りよがりなものになっていないか、現場やお客様の声を積極的に聞きに行くようにもしていました。そして、間違った方向に進んでいないか常に確認しつつ、めざすべきゴールを見据え大切に進めてきました。

――『Sanpo保健室』の今後の展望を教えてください

木村さん:めざすのは多くの企業様に利用していただくことです。シェアリングのコンセプトに基づき、スケールメリットが拡大すれば、私たちが解決できることも増えると感じています。また、多くの企業に導入いただくなかで浮かび上がる課題や解決策を、他の弊社サービスにも反映していくことで連携を深めていきたいです。他のサービスとの結びつきを強化し、相互に連携することで、サービス間の一体感を確立したいと考えています。

尾尻さん:出来るだけ多くの方に『Sanpo保健室』の価値を届けたいと思っています。『Sanpo保健室』を通じて、誰もが等しく産業保健のサービスを享受できる世の中に出来ればと思います。そのためには、今後も利用者の声に耳を傾け、”リアルな声”をサービスに反映していきたいです。『Sanpo保健室』というサービスを”あたりまえ”へ定着させていくのがこれからの我々の目標です。

誰のために何故作るのか?という根幹を崩さず、サービスの質を追及していく2人の意義を感じました

Sanpo保健室 サービス詳細