「医師のストレスマネジメント」について、アンケート調査を実施

業場向け産業保健支援、医療人材総合サービスを提供する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、当社が運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』の登録医師のうち452名に 「医師のストレスマネジメント」に関するアンケート調査を実施しました。

調査背景

「働き方改革」が進む昨今において、人々の命や健康と向き合いながら、複雑な人間関係の中で多忙に働く医師は、どのようなことにストレスを抱え、どのように対処しているのでしょうか。職場のメンタルヘルス対策への取り組み状況と合わせて調査しました。

■ 調査結果サマリー

仕事上のストレスについて
68.6%の医師が仕事上のストレスを抱える
・ストレスの要因「業務量が多すぎる」がトップ

ストレスのセルフケアについて
半数以上がストレスへの対処法が「ある
4割以上は相談相手が「いない

職場のメンタルヘルス対策について
約8割がメンタルヘルスに関する相談窓口がない・詳細を知らない
5人に1人が一度もストレスチェックを受けたことがない

仕事上のストレスについて

1. 68.6%の医師が仕事上のストレスを抱える

仕事上のストレスや、それに起因するメンタヘルス不調に関して、20.6%が「非常に強く感じている」、48.0%が「適度に感じている」と回答。68.6%の医師が仕事上のストレスを感じている結果となりました。

2. ストレスの要因「業務量が多すぎる」がトップ

仕事上のストレスやメンタルヘルス不調の要因として、「業務量が多すぎる」(126)が最も多く、次いで「給与や手当など、経済的なことに不満がある」(81)、「仕事と家庭・プライベートの両立が難しい」(79)が多い結果となりました。また、その他の回答では、「コンピューター操作」や「雑用が多い」などのコメントがみられました。

〇具体的なエピソード
・長時間の難しい手術が終わったら、患者の家族への説明。術後管理もあるのに、救急対応に呼ばれるなど、ほとんどの業務を自分が担当している。(50代/脳神経外科/勤務医<大学病院以外の病院>)

・上と下との間の中間管理職的なことをしており、対応が大変。
 (30代/糖尿病内科/勤務医<大学病院>)

・意図しない業務が次々と降りかかる。
 (60代/一般外科/勤務医<大学病院以外の病院>)


ストレスのセルフケアについて

3. 半数以上がストレスへの対処法が「ある」

仕事上のストレスを感じたとき、日常的に行っているストレス軽減法や解消法が「ある」と回答した医師は54.6%になり、半数以上が自身のストレスへの対処法を持っている結果となりました。
また、具体的な対処法は「体を動かす・運動する」(110)が最も多く、「美味しいものや好きなものを食べる・飲む」(97)、「しっかり睡眠をとる」(84)が続く結果となりました。


4. 4割以上は相談相手が「いない」

仕事上のストレスやメンタルヘルス不調を感じたときに、54.4%が相談相手が「いる」と回答。反対に、45.6%が「いない」と回答しました。医師の4割以上がストレスやメンタルヘルス不調の相談先がない結果となりました。

職場のメンタルヘルス対策について

5. 約8割がメンタルヘルスに関する相談窓口がない・詳細を知らない

相談相手が「いない」と回答した医師のうち、79.1%が勤務先にメンタルヘルスに関する相談窓口が「ない」「あるかもしれないが詳細は知らない」と回答。約8割の医師の勤務先にメンタルヘルスに関する相談窓口がない、もしくは詳細が知られていない結果となりました。
反対に20.9%は「ある」と回答し、勤務先に相談先があるにも関わらず、相談相手が「いない」と感じている結果となりました。

6. 5人に1人が一度もストレスチェックを受けたことがない

労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに職場環境改善につなげることを目的とした「ストレスチェック制度」は、常時50人以上の従業員を雇用する事業場の場合、年1回以上実施することが労働安全衛生法で義務付けられています。
このストレスチェックについて、従業員50名以上の勤務先で「毎年受けている」医師は41.9%、「毎年ではないが受けた経験がある」医師が35.4%、「一度も受けたことがない」医師が22.7%となり、5人に1人の医師はストレスチェックを一度も受けた経験がない結果となりました。また、年1回以上実施するべきストレスチェックを受けることができている医師は、約4割に留まることがわかりました。

求められる病院における産業保健活動

2024年4月からは「医師の働き方改革」が開始となり、医療機関においても注目が集まりつつある産業保健活動ですが、医師のメンタルヘルス問題をはじめとして、まだまだ課題は多く存在します。特に、今回の調査でわかった「ストレスチェックを毎年受検できている医師の割合」は、一般企業のそれと比べ、大きく下回る結果となりました。医師の健康を守るために。まずは医師をはじめとするスタッフの心の状況を知ることから始まるのではないのでしょうか。

株式会社エムステージ 取締役産業保健事業部長 歌代 敦
大手ヘルスケア企業を経て、2020年4月、株式会社エムステージ取締役就任。産業医紹介やストレスチェックをはじめ、各種健康経営施策等の総合的なコンサルティングに従事。過去25年で、支援した企業数は1,000社以上。2023年4月に、『労働力減少時代の「もっとよくなる健康経営」 企業が生き残るために経営者が取り組むべき産業医の活かし方』を出版。

アンケート調査概要

・「医師のストレスマネジメント」に関するアンケート
・調査対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
・調査日:2023年9月5日~9月12日
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:452
※引用・転載時には「株式会社エムステージ」と弊社クレジットを明記下さい。

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『産業保健トータルサポート』では、医師紹介業20年のノウハウとネットワークによる産業医紹介・選任後の業務サポートをはじめ、ストレスチェック『Co-Labo』、産業保健師サービス、EAP外部相談窓口、メンタルヘルス・ハラスメント研修、専門家相談サービス等で、企業の健康経営を総合的に支援しています。

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